賃貸アパートに設置した太陽光発電設備の電力売却収入と減価償却

賃貸アパートや戸建てを賃貸して所有している方で、屋上に太陽光発電設備を設置し、共用部分で使用してその余剰電力を電力会社に売却した場合の収入は、所得区分は『不動産取得』とされます。

売却収入の所得区分
・給与所得者が自宅に設置⇒雑所得
・事業者が事務所に設置⇒事業所得
・個人経営者が賃貸アパートに設置⇒不動産所得
賃貸収入に付随する所得ということで不動産所得に該当します。

アパートに太陽光発電システム

余剰電力の売却収入はイメージが付きやすいかと思われますが、

減価償却については注意が必要です。

実際に当事務所のお客様の事例でもあったのですが・・・

太陽光発電設備設置業者や大手ハウスメーカーによると、あたかも賃貸アパートに太陽光発電設備を設置しても即時償却や30%特別償却が可能とうたって販売している業者がいるようで残念です。一部と信じたいですが、検索してみても少なくありません。

注意:賃貸アパートには、エネ革税制等の特別償却は適用できない

この制度はついては、エネ革税制グリーン投資減税の2つがありますが、以下に記載します。

エネ革税制

エネ革税制とは
本制度は、青色申告書を提出する法人又は個人がエネ革税制対象設備(エネルギー需給構造改革推進設備等)を取得し、かつ1年以内に事業に使用し始めた場合、特別償却又は法人税制(又は所得税額)の特別控除のいずれかを受け取れる制度です。税額控除は中小企業等のみ適用できます。

(1)中小企業者に限り、基準取得価額(計算基礎となる価額)の7%相当額の税額控除。
ただし、その税額控除額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合は、その20%相当額が限度額となります。

(2)普通償却に加えて基準取得価額の30%相当額を限度として償却できる特別償却。
ただし、2009年4月1日より2011年6月30日までの間に取得等し、その日から1年以内に事業に使い始めた場合、その日を含む事業年度において即時償却が可能です。貸付設備又は中古設備は対象外。

グリーン投資減税

平成23年6月30日から平成26年3月31日までの期間内に対象設備を取得した事業者は、取得価額の30%特別償却(青色申告書を提出する法人又は個人)又は7%税額控除(中小企業のみ)の措置を受けることができます。

国税庁HPによると

賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入
エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(租税特別措置法第10条の2の2)及びエネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(租税特別措置法第10条の2の3)は、事業所得の金額又は事業所得の金額に係る所得税額の計算における特例ですので、不動産所得を生ずべき資産である賃貸アパートに太陽光発電設備を設置し、その業務(事業)の用に供している場合には、これらの特例の適用を受けることはできません。
【関係法令通達】
租税特別措置法第10条の2の2、第10条の2の3

以上のように事業者が店舗などに太陽光設備を設置した場合に、エネ革税制やグリーン投資減税も活用することは可能ですが、賃貸アパートの場合には活用出来ないようですので注意が必要です。この制度を活用できると思って賃貸アパートに設置する方が多いので、そういう方が周りにいらしたら教えてあげて下さい。

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